「個人事業を親から子に譲る」
この時に気を付けたいこと。それは、対価の問題です。譲り受けた子は長年にわたり親が行ってきた事業を「無償」で引き継いでも税務上問題はないのでしょうか?
寄付金認定、受贈益認定等をされることにより不測の税金が発生することはないのでしょうか。
この答えを解くカギは「営業権」と呼ばれる権利にあります(のれんとも呼ばれます)。
営業権は税法には規定がありません。判例等によると「営業権とは、法律上の権利だけではなく、企業の長年におよぶ事業活動で培われた伝統、社会的信用、名声、立地条件、独特な製造技術及び特別な取引関係の存在並びにそれらの独占性等の有形無形の財産を総合したものであり、それは他の企業を上回る企業収益を獲得することができるという『超過収益力』を本質とするものである」と。
営業権の評価方法
営業権の価額=超過利益金額×営業権の持続年数に応ずる基準年利率による ※持続年数は、原則として10年
超過利益金額=平均利益金額(Ⅰ)×0.5
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Ⅰ平均利益金額
課税時期の属する年の前年以前過去3年間(法人の場合は直前期末以前3年間)の所得の金額の合計額の1/3に相当する金額(その金額が課税時期の属する年の前年(法人の場合は直前期末以前1年間)の所得の金額を超える場合には、前年の所得金額とする。
(注意)
法人が繰越欠損金の控除をしている場合には当該欠損金額を加算した金額とする。
過去3年に欠損がある場合には、通算して3年間の所得を算出する。
また、次の金額はなかったものとして所得の計算から除く。
① 非経常的な損益
② 借入金支払利息、社債発行差金の償却費
③ 青色専従者給与額または事業専従者控除額
④ 損金算入された役員給与(法人)
Ⅱ標準企業者報酬額
平均利益金額の区分に応じて次のように計算した金額とする。
平均利益金額の区分 |
標準企業者報酬額 |
1億円以下 |
平均利益金額× 0.3+1,000万円 |
1億円超3億円以下 |
平均利益金額× 0.2+2,000万円 |
3億円超5億円以下 |
平均利益金額× 0.1+5,000万円 |
5億円超 |
平均利益金額×0.05+7,500万円 |
Ⅲ総資産額
財産評価基本通達に基づいて評価した課税時期の企業の総資産の価額です。
課税時期は相続開始日、贈与の日、法人の場合は仮決算をしていても直前期末となります。
評価が不要な営業権の範囲
平均利益金額が5,000万円以下となる場合の営業権
医師、弁護士等のようにその者の技術や才能等を主とする事業に係る営業権
なお、営業権は相続時の非上場株式の評価においても気を付ける必要があります。
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