公認会計士・税理士事務所のコラム

クリニックに強い税理士とは?

クリニック経営を安定・成長させるためには、「税理士」の存在が欠かせません。特に歯科医院やクリニックでは、一般企業とは異なる税務や会計のルールが多く、専門知識が求められます。「顧問税理士って具体的に何をしてくれるの?」「普通の税理士とどう違うの?」と疑問を持つ院長先生も多いでしょう。

この記事では、クリニックに強い税理士のサポート内容や料金相場、一般の税理士との違いについてわかりやすく解説します。

税理士による具体的なサポート内容

歯科医院やクリニックが税理士に依頼できるのは、単なる税務処理だけではありません。記帳代行や税務代理、節税対策、経営分析、資金繰りや融資支援、さらには医療法人化・事業承継の支援まで、幅広い業務を包括的にサポートします。

ここでは、実際に依頼できる主な内容を詳しく見ていきましょう。

税務代理や申告書類の作成

日々の診療業務に追われる中で、複雑な税務手続きを正確に行うのは容易ではありません。税理士は、確定申告書や法人税・消費税の申告書などを代理で作成・提出し、税務署とのやり取りも代行します。

特に歯科医院では「保険診療と自由診療の区分処理」や「医療機器の特例控除」など、専門的な知識が求められる場面が多く、医療業界に精通した税理士のサポートが不可欠です。ミスや漏れを防ぎ、適正な納税と節税を両立できるのが大きなメリットです。

記帳代行や経理業務のアウトソーシング

記帳代行・経理業務を税理士に任せることで、本業に集中

多くのクリニックでは、院長や家族が経理を担当していますが、診療との両立は大きな負担です。税理士に記帳代行を依頼すれば、売上・経費の仕訳入力や帳簿作成、給与計算などの事務作業を外部化でき、時間を診療やスタッフ管理に充てられます。

記帳内容の正確性が上がるだけでなく、税務調査への対応力も向上します。無駄な人件費を抑えながら、安定した経営管理が可能になります。

資金繰りや融資支援

開業資金や設備投資、分院展開など、歯科医院ではまとまった資金が必要になる場面が多々あります。税理士は、資金繰り表の作成や融資申請書類の準備、銀行面談のサポートなどを行い、スムーズな資金調達を支援します。

特に医療業界に強い税理士は、金融機関との信頼関係や融資審査のポイントを理解しており、実現性の高い事業計画書の作成をサポートしてくれます。「今投資しても大丈夫か」といった経営判断の相談にも応じてくれる点が心強いでしょう。

医療法人化や承継支援

医療法人化や事業承継のご相談も税理士にお任せ

医院の成長や事業拡大を考えるとき、個人事業から医療法人への移行は大きな転換点です。医療法人化の適切なタイミングや、節税効果を最大化する手続きの流れを、税理士が総合的に支援します。

また、事業承継を見据えた相続税対策や医院評価の算定など、将来を見据えた準備も欠かせません。医療特有の制度を理解する税理士であれば、後継者へのスムーズな引き継ぎまで支援が可能です。

クリニックに強い税理士と一般的な税理士の違い

「税理士なら誰でも同じ」と思われがちですが、実は大きな違いがあります。歯科や医療分野に特化した税理士は、医療会計に関する専門知識と経験が豊富で、経営改善や節税の提案にも差が出ます。

歯科業界特有の知識が豊富

歯医者・クリニック業界の知識が豊富な税理士を選ぶ

一般の税理士が見落としがちな「社会保険診療報酬の特例」や「医療設備の減価償却」など、医療特有の会計処理にも精通しています。そのため、節税のチャンスを逃さず、無駄なコストを削減できます。

歯科医院の損益構造や経営課題を理解しているため、経営分析や人件費の最適化など、より実践的な助言を受けられるのが特徴です。

医療法人化の手続きに精通

医療法人化は、通常の法人設立よりも手続きが煩雑で、行政への申請や税務処理にも専門知識が必要です。クリニックに強い税理士は、法人化の準備から設立後の運営までトータルでサポートします。

節税効果の試算や分院展開の資金計画など、経営全体を見据えた提案を行うため、長期的な医院経営のパートナーとしても信頼できます。

歯科医院の税理士顧問料の相場

税理士との顧問契約では、医院の規模や依頼範囲によって料金が変動します。以下は一般的な目安です。

個人クリニックの相場

個人クリニックの年間顧問料は約60〜70万円程度が相場です。

内訳としては、月額3万円前後の顧問料に加え、決算料が約15万円。記帳代行や給与計算を追加すると、数万円のオプション費用が発生します。訪問回数や業務範囲によっても変動するため、契約前にしっかり確認することが大切です。

医療法人の相場

医療法人の場合は事業規模が大きく、年間で70〜90万円前後が目安です。

月額約5万円、決算料25万円程度が一般的で、スタッフ数や年末調整の有無によって総額が変わります。コストを抑えながらも、専門的なサポートを受けることで、経営の効率化が図れます。

税理士選びで失敗しないポイント

歯科業界・クリニックの税理士選びのコツ

顧問税理士を選ぶ際は、「専門性」「サービス内容」「料金バランス」の3つを意識することが重要です。

契約前に、税理士がどれだけ歯科医院の顧問実績を持っているかをチェックしましょう。医療法人化や分院展開など、具体的な支援経験が豊富な事務所ほど信頼性が高く、柔軟な対応が可能です。

税務代理・記帳代行・経営相談など、どこまでが顧問料に含まれるかを事前に確認しましょう。安すぎる契約ではサポート範囲が限定されるケースもあるため、トータルコストで比較するのがポイントです。

まとめ|顧問税理士で経営の見える化と安心を

クリニックや歯科医院に強い税理士は、税務処理だけでなく、資金計画や法人化、経営改善まで幅広くサポートしてくれます。医療業界特有の制度や会計ルールを理解しているため、節税効果や経営安定化にも直結します。

経営負担を軽減し、医院の成長を加速させたい院長先生は、ぜひ医療業界に強い顧問税理士の導入を検討してみてください。

一覧へ戻る